世界中の読者に20年間の長きにわたって愛されもっとも信頼されるサーフィン専門誌 The Surfer's Journal 誌の日本語版。 米 The Surfer's Journal誌は、サーフィン関連の出版界で長年活躍し、世界中からリスペクトされるス ティーブとデビーのペズマン夫妻によって1991年に出版されました。
『ザ・サーファーズ・ジャーナル日本語版』は、本誌TSJのフランスにつづくあたらしい外国語バージョンです。文化的にもビジネス的にも世界的な影響を持つまでに成長したサーフィン。このすばらしく深淵なスポーツを、“SURF CULTURE"というあたらしい切り口からふかく掘りさげ、20年というながきにわたって世界中のサーフィンを愛する人々に紹介してきたTSJ。その編集コンセプトとスタンスを正統に継承し、本物の“SURF CULTURE"を日本のサーフィン愛好家たちにむけて発信しています。
世界でもよりすぐりのトップ・フォトグラファーたちによってとらえられた、サーフィンのうつくしく迫力に みちた瞬間の数々。新旧さまざまなライターたちによってつづられる、ふかい洞察に満ちた本質的でバラエ ティに富んだストーリー。 その価値ある内容は、魅力的なデザインによってレイアウトされ、最高の技術によるマットストック紙 への印刷で極限のうつくしさを主張しながら、最高の品質で編集されてきました。
そのクオリティはまさに アートの域にまで達していると、世界中で高い評価を受けつづけています。 米 The Surfer's Journal誌は、まさにプレミアム的な価値をもった出版物として、雑誌と書籍の中間に 位置づけられれてきた希有な存在なのです。 そんな米 The Surfer's Journal誌と日本の外国人むけアウトドア専門誌を発行するOutdoor Japan Media社が提携し、本国オリジナル版の完全日本語版化をめざした『ザ・サーファーズ・ ジャーナル 日本語版』は、デザインもレイアウトも印刷もすべてオリジナル版のクオリティを踏襲し、 オリジナル版の内容を日本語でおつたえすることを目的に発行される本格派です。サーファーという生き方 を深く考察し、この日本を拠点にサーファーとしての生き方を追求するみなさんはもちろんのこと、あたらし い生き方をもとめるすべての人々にむけて、人生のあらたなたのしみ方を提案するライフスタイル・マガジンです。
今回のコンテンツは、
<フィーチャーストーリー>
■今号のオリジナルコンテンツは、1970年代からサーフィンのメディア等で活躍をつづける、サーフィン界のレジェンドのひとり、フォトグラファーの横山泰介のストーリーだ。彼は、風刺漫画の横山泰三を父に、「フクちゃん」で知られる国民的漫画家の横山隆一を伯父にもつ芸術家一族の中、鎌倉で育った。そして、父親のライカを持ちだして、稲村ケ崎で撮影した1枚の写真が彼の人生を決定した。
■Locals Are Made of This
「瞬間と永遠」
フォトグラファー・横山泰介が見つめるもの
文:谷岡正浩
一枚の写真がある。 かなり上からのアングルで、波が割れるその時を捉えたものだ。両脇の植物がなんともいえないアクセントとなって空間の遠近感や広がりを感じさせる。自分が思い描いた理想の女の子を偶然見かけたときのような、ハッと息を飲む瞬間。手を伸ばしても届かない永遠の片想い――そんなふうに形容したくなるほど、この写真には見るものを焦がれさせる魔力のようなものが息づいている。
この、もはやあまりにも有名な写真は、日本で初めて撮られたサーフィン・カルチャーを象徴する写真と言っても過言ではなく、撮影者はもちろん横山泰介その人だ。かずかずの有名サーファーやミュージシャン、俳優たちのポートレイトをものにしてきたフォトグラファーの、キャリアの最初にあるのが、この稲村ヶ崎の写真だ。
■You Won't Go
「おまえは行かない」
サーフィンのメッカ、ノースショアには、サーファーになるための通過儀礼がある。
ハワイ、オアフ島のノースショアでは、モンスターと呼ばれるケ・イキのショアブレークへとスイムアウトして、神の怒りの拳のような波に叩きつけられにいく儀式がある。もちろん波の底には水はほとんどなく、黄金色の砂浜がむき出しになっている。バロン・ミヤムラやノア・ベッシェン、マカナ・パング、そしてカラニ・リベロたちも、その蒼く凶暴な撹拌器へみずから飛び込み、アドレナリンと若さを発散させて狂ったように笑い転げる。彼らは「ある言葉」を叫び、彼らの魂の檻に入れられた自尊心という動物を小突いて呼び覚ます。それは「You Won'T Go!/おまえは行かない」というセリフ。もちろん、その言葉を投げかけられただれもが行ってしまうのだけれど。
文:ビュー・フレミスター
■Records of the Isthmus
「パナマ地峡備忘録」
ゾーン・ブラッツとして生まれ、超越的写真センスを持ちながら忘れ去られたサーファー、スティーブ・ビッセルの人生とその作品。
パナマ運河地帯は、かつてはアメリカ合衆国の海外領土で、そこで生まれた子供たちはゾニー、ゾニアン、もしくはゾーン・ブラッツと呼ばれた。1966年にサーフィンというスポーツが突発的な現象としてゾーンに登場し、それまで昆虫採集専門だった2ダースほどの連中がその魅力の虜になり、彼らには政治的分離も関係なかった。そのなかのひとりにスティーブ・ビッセルという少年がいた。彼はのちに『サーフィン』誌などでカメラマンとして活躍することとなる。
文:キンボール・テイラー
■GO ALONG IF YOU LIKE
「異色のツインフィン・ライダー」
ツインフィン、1台のキャンピングカー、週50ドルの間借り…、トーレン・マーティンのシンプルライフと個性的サーフィンライフ。
文:ジェド・スミス
■Down from the Spin Ghar Mountains
「スピン・ガーの山々を駆ける」
パキスタン、アフガニスタン、そしてフランス、ミキ・ドラと過ごした思い出とスキャンダラスの日々。
ミキと私がアフガニスタンにいたころ、私たちは遊牧民たちと暮らすのを好んだ。あの山岳民族は国際社会が勝手に決めた国境など気にも留めてはいなかった。パシュトゥーニスタンはいまでは幻となった国で、地図をチェックすればタジキスタンとキルギスを見つけることはできるが、そこにはパシュトゥーニスタンはない。
文:ナット・ヤング
■New Model Army
「ニュー・モデル・ミューズ」
インフルエンサー・ランキングにエンゲージメント率は無視したとしても、ソーシャルメディア界の人気者。生粋のサーファー、ジョージー・プレンダーガストが語る、その想い。
ジョージー・メイ・トコン・プレンダーガストは、20歳になったばかり。この若さで、サーフィン界のスーパーモデルとして、ここまで名を知られているのはなぜだろう。15歳のころからさまざまなメディアに登場し、雨の日も晴れた日もバイロンパスの波に乗りつづけてきたからなのだろうか。ノーズに向かう軽やかなクロスステップ。若さあふれる魅力も、オールドスクールなスタイリッシュさも表現できる、とても器用で多才なサーファー。若い子向けのスポンサーたちだけでなく、彼女のシェーパーであるマクタヴィッシュをも魅了してしまう。そもそも、先月までいち押しだった「今日のサーファー」が、今月になるとインスタグラムの笑いモノになってしまうような世界では、5年間という時間は、じゅうぶんに長いとは言えないだろうか。
文:フィル・ジャラット
ほかにも、スティーブ・ビッセルやアル・マッキノン、セス・デ・ルーなど、世界で活躍するフォトグラファーによる「ポートフォリオ:グループショー」や、本誌編集ジョージ・カックルによる、グリーンルーム・フェスティバルのプロデューサー、釜萢直紀との対談「People」など、今号の『ザ・サーファーズ・ジャーナル日本版9.5号』も話題満載です。